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DISTRESS / WHEEL OF DHARMA - split CD (Totalpunk Records) ¥900
現 在のロシアン・D.I.Yパンク/ハードコア・シーンで唯一正統派の「Dビート・クラスト」と言っていいバンドがこの Distress。"Bombs For War, D-Beat For Peace" (戦争のための爆弾、平和のためのDビート) を掲げるサンクトペテルブルグ出身のかれらの新作は、フィンランドのアナーコ・パンクス "Wheel of Dharma" とのスプリット。ダウンチューンド・ギターで重厚に突き進むダイナミックなクラスト・サウンドは、基本 Acclaim からリリースした split 7" with Diskelma からさほど変化はないが、本作においては、Wolfpack/Wolfbrigade を思わすメロディアスな要素も加味され、より現代的なそれに仕上がっている。なるほど現在のかれらの勢いを感じさせるには十分の全5曲である。方や、Wheel of Dharma は、レーベルの説明によれば、「アナーコ・パンクス」との触れ込みだが、サ ウンドのみに関して言えば、想像されるそれに限定されない。いわゆるアナーコパンク/クラストのストレート・フォワードな部分はありつつ、カオティッ ク&ダンサブルに屈折したりもして、正直なんと表現していいか分からない。絶叫するヴォーカルもそれに拍車をかけるし、「破天荒」という表現が一 番適切と思う。かれらも全5曲。フロント・カバーはセルビアの Doomsday Graphics。
 
DISTRESS - ProgressRegress CD (Totalpunk Records) ¥900 restocked
当方からリリースした split 7" with Diskelma も好評ソールド・アウトのロシアン・Dビート・パンクス "Distress" のファースト・フルレングス・アルバム (その split 7" with Diskelma の音源はこのアルバムのセッションから3曲を収録したもの)。2006年初頭に録音された本作は全部で10曲を収録。純粋に Discharge、The Varukers のスピリットを消化し、初期スカンジ・パンクの影響をうまくミックスしたパワフルなヘヴィ・Dビート・ロウ・シット・サウンド。今後も、フィンランドの Wheel Of Dharma との split CD、及びチェコの Mass Genocide Process との split 7" が控えているというから、今ノッているバンドに違いない。今回もバンド自身のレーベル "Total Punk" からのリリース。
 
HELLSHOCK "Singles" CD (H.G.Fact) ¥1,800
今年3月に2度目のジャパン・ツアー "Born Out Of Darkness" を敢行したばかりの US は PDX のステンチ・メタル・クラスティーズ "Hellshock" のシングル集CD が H.G.Fact よりリリース。"PDX Hardcore Punk Comp. L.P." (Whispers in Darkness/Spent Round)、"s/t" 7" (Whispers in Darkness)、split 7" with Consume (Black Water)、split 10" with Effigy (Wicked Witch/Crimes Against Humanity)、"World Darkness" (Black Water)、 "Warlord" 7" (Profane Existence)、そして、"Scorching Hell Tour" 7" (Self-Released) を収録した全16曲。レーベルの説明にもあるとおり、入念なマスタリングが施され、元々の各アナログ・バージョンよりも、かれらの「緻密な表現」を生々しく体感できるすばらしい内容となっている。また、かれらは、80年代中〜後期のUK (メタル) クラスト・バンドの影響を越え、いわゆる90年代以降の現代的な要素 (それは年代問わず雑多な音楽的要素が混在していることも指す) を多々持っており、そこがまた個人的にポイントが大きい。こうしてこの CD で通して聴くと、そのことが如実に理解できる。まさに「モダン・ステンチコア」と言えるスタイルを確立している。ブックレットには、日本語訳のみの全歌詞、さらには、メンバーによる各作品の解説を掲載。
 

HOMEOSTASIS #1 zine (Homeostasis) ¥Free
Screwithin 及び Unarm の両フィメール・ヴォーカリストによるパンク・ファンジン "Homeostasis" の第1号。本作は、2009年4月4日〜4月12日まで敢行された Khatarina / Screwithin / Unarm "Killer Blow" Japan Tour with Acclaim Collective に合わせ、「自分たちは自分たちでやる」という D.I.Yパンクの理念に基づき、共にツアーを行ったフィンランドはトゥルクのフェミニスト・Dビート "Khatarina" をサポートする目的で始められたもの。

「ABOUT THE BAND」(バンドについて)・「ABOUT PERSONAL THOUGHTS」(個人的な思想について)・「ABOUT FINLAND AND LIFE」(フィンランドと人生に関して) の3つのテーマで構成された Khatarina のインタビューは本当に読み応え十分だ。同じくこのジンの主催者2人による Doll での彼女たちのインタビュー (同時期に掲載) より、さらに2人が「パンクであること」に突っ込んだ内容となっている。そのことに加え、彼女たちの「本質」を引き出した背景には、この2人のパンクの「力の入れ方」に依るところがある。そして、彼女たちのインタビューからは、「パンクであること」の理由が常に「政治的背景」から生まれてくることが分かる。なぜなら、私たちはそのことを自覚することによって、よりパンクの「力の入れ方」を多様に理解するからであり、「政治的表現」をするにせよしないにせよ、それがパンクの「政治性」であるからだ。その意味で、このインタビューは、両者 (インタビューをする側/受ける側) の思惑がピッタリとはまっている。

その他には、Screwithin のベーシスト "Case K" をゲストに迎えた "Vegan Recipes" 、Acclaim Collective による "Khatarina Discography" で構成された全8ページ。

ちなみに、今後もこのジンを続けていくそうだ。次号が楽しみなジンが生まれたことは、本作が生まれる切っ掛けとなった "Killer Blow Tour" の「収穫」であったとまた言えよう。

 

LOVE POTION "Ejaculator" CD (Too Circle) ¥1,000
デンマーク・コペンハーゲンは、"K-Town" のヘイト・ハードコア・パンクス "Love Potion" - 彼らは、Asbest、Death Token、Dead Instrument といったこの地のオールスターパンクスによって結成されたばかりのニュー・バンドである。本作は、同地の Adult Crush からリリースされた1st 7" "Ejaculator" のCDバージョンと言えるもので、追加で未発表2曲、さらにはデンマーク国内においてのみ流通 されたというデモ・テープ "Taste the Love" が加えられた全14曲を収録。

本作のオビでも宣伝されているとおり、まさに「新たな刺客」と呼ぶにふさわしい彼らのサウンドは、初期 Poison Idea、あるいは、Jerry's Kids のような 80's ボストン・ハードコアの影響を非常に感じさせるものである。そこに、80's スカンジ・テイストも加えられ、猛々しいことこの上ない。それでいて、曲の練られ具合も完璧と言えるもので、これはテンションが上がる。

また、憎悪を撒き散らしながら、ひたらす「Crazy Fucked Up 日常生活」に根付いた歌詞を叫ぶヴォーカリストもたまらない。オーバードース (薬物過剰摂取) な印象も受ける彼らだが、彼らにとって「オーバードース」とは、俺たちが「正常」思想に侵されない意識を持つための認識なのだ (ここでは「実際の」オーバードースの概念は根本的に関係ない)。彼らの曲には、"Overdose" (オーバードース) という曲もあるぐらいだ。

しかし、だれが「オーバードース」しているのか?俺たちは「オーバードース」を自分とは無関係の問題として捉えすぎている。あるいは、「オーバードーズ」を「特定」の人間だけの責任として押しつけすぎている。だって、俺たちはみな「オーバードース」しているじゃないか。「正常」思想なぞクソくらえだ。彼らの "Overdose" (オーバードース) の中で唄われている「人生が終焉を迎えている」は「道連れ」という名の俺たちの連帯を指している。もう一度言おう。俺たちはみな「オーバードース」しているのだ。

 

STRONG AS TEN "s/t" LP (Under Siege) ¥900
フレンチ・グレート・ポリティカル・ハードコア/ ファストコア・バンド "Strong As Ten" の 1st LP が、ニュー・ジャケットになって再プレス。レビューは以下参照 :

" これは痛快である。以前、入荷した Shallnotkill との split 7" も良かったが、今回はさらにパワーアップした作品を作り上げてきたフランスのファスト・ポリティカル・ハードコア・バンド "Strong As Ten" の1stアルバム。以前の勇敢なオールドスクール・ハードコア色はもちろん残しつつ、Charles Bronson ばりにスピードを上げ、そしてなによりこのバンド独特のセンス (ユーモアも一杯) が随所に鏤められており、聞き所がたっぷりだ。ストレートかつ読み心をソソるポリティカルな歌詞も、「このアルバムは、あらゆる民族、ジェンダー、年齢、文化、そして種のために、俺たちの世界を人生のよりよい場所にする夢によってインスパイアされた」とバック・カバーに記載されているとおりである。つまり非常に鼓舞される内容なのだ。全13曲収録にもかかわらずあっという間だが、単調ではないし、ノリも抜群によく気持ちいいことこの上ない。Black Flag、Infest のカバーもキマってる。 " - Acclaim Collective

 
NAGASAKI NIGHTMARE / BLUNT split LP (Accidia HC) ¥900 restocked
イタリア/スペイン・グレート・ポリティカル・ネオクラスト・スプリット。イタリアの Nagasaki Nightmare は、新録全3曲収録で、今回は、よりコンセプト的な音作りとなっている。前作・Contrasto との split LP で聞かせた「From Ashes Rise meets Madame Germen」的なダーク・エモクラストをさらに昇華。ブルータルさを失わず、より詩情を追求した結果 、現時点でのこうしたスタイルのバンドの中では、トップ・レベルと呼べる曲を創り上げていると思う。スペインの Madame Germen が好きな人は絶対聴いてほしい。そしてまた、彼らの魅力は、理想的な見物人になるしかないこの世界における生の「堕落」と「奪還」を反復させたような歌詞である。次は、スペインの Blunt だ。彼らは、この作品からあまり期間を置かずにファースト12"をリリースしていた。その中で聞かせていた His Hero Is Gone、Tragedy、From Ashes Rise 影響下にある一連のスパニッシュ・スタイルとでも言うべきサウンドは、さらに迫力が増したようだ。終始テンションが下がらない圧倒的な演奏にやられる。歌詞は、俺たち自身が「オーナー」となり、自由を取り戻すことの止められない感情を叫ぶ。彼らは、全5曲収録。現時点でのベスト・ネオクラスト・スプリットと言い切れる非常に好内容の作品だ。
 
自由労働者連合 - Bottoms 第3号 newsletter (Winter 2009) (自由労働者連合) ¥300
2009年年始声明 / 6月抵抗闘争弾圧裁判と獄中からの便り / 越年闘争の取り組み (大阪、東大阪、京都) / 難波職安 「非正規雇用就業支援センター」 の実態 / poznan より緊急声明、ポーランドへの抗議書 / 無政府主義の哲学 (1) / 詩 / 自由労働者宣言 / 目次、編集後記
 
自由労働者連合 - Bottoms 第2号 newsletter (Autumn 2008) (自由労働者連合) ¥300
黒色救援会【ABC - osaka】声明 / ある下獄者の孤高の獄中闘争口伝 / 死刑廃止! 105人集会報告 / 金木犀かおる川内の路傍より / 日雇派遣禁止に異議あり! / 詩「9・11に祝福を」 / 頭脳警察、心斎橋クラブクワトロに参上 / 大住隼人舞に思いを馳せて / 海外通信 ブライトン、アムステルダム、プラハ / 朝日建設争議総括 / 自由労働者連合 ? これまでの歩み / 会計報告、カンパ要請 / 目次、編集後記
 
自由労働者連合 - Bottoms 創刊号 newsletter (Summer 2008) (自由労働者連合) ¥300
自由労働者宣言 ?自律空間のあくなき拡大? / 黒色救援会より / 長野県川上村争議 / 6・13救援会 抗議声明 / 故 死刑囚・宮崎氏と私・・・など / 朝日建設争議の意義と総括への試み / ある獄中者の詩「西成のオカミ」
 
MARCEL DUCHAMP "Contra Nosotros Mismos" LP (Les Nains Aussi) ¥900
チリのポリティカル・ハードコア/パンク・バンド "Marcel Duchamp" の2ndアルバム。Los Crudos、Migra Violenta ばりにブッ飛ばす激情的なハードコア・サウンドが全28曲。しかしながら、ハードコアのつんのめるようなパワーを維持しつつ、「一直線に」ならない独特のセンスがところどころで爆発している。ヴォーカル・スタイルは、前述したバンドのように絶叫という感じではなく、どちらかと言えばユースクルー・スタイルとも言えそうだ。それは若さをガンガンに感じさせるものだ。本作は、既にリリースされているCDのLPバージョンで、メンバー自身も関わっているチリの Masapunk Discos (アナーコパンク・コレクティブでもある)、フランスの Les Nains Aussi 及び Vaillent Fred の3レーベル共同。
 

AFFLUENTE / CONTRASTO "Insurrezione" split 7" (Accidia HC) ¥400
"Insurrezione" (叛乱) とサブタイトルがつけられたコンセプト・スプリット7"。そしてイタリアのベテラン・アナーコパンク・2バンドが顔をそろえた。本作には、「 右・左のファシストどもの抑圧的な制度上の政治は、腐敗する装置から荒れ狂う意志がどれくらい実際に癌の根源を根絶しようとする行動に具体的に発展するかを毎日示している (明らかに)。」〜から始まるContrastoの声明や、1922年に "Arditi del Popolo" (市民の突撃) として、当時のイタリア・ファシスト政権と闘った反ファシズム・ミリタント "Guido Picelli" の言葉などが載せられ、時代をつないで「叛乱」の分析再考が試みられる。また、もっとも重要なことは、本作が「叛乱」をテーマとしながら、「俺たちはどこで間違っているのだろうか?」 (by Contrasto) 、あるいは 「俺たちは、状況、日常生活の批判的な分析、時間との相互作用および周囲の出来事に浸透する能力を次第に忘れさせられ/失わせられた。」 (by Contrasto) といったように、その不可能性に焦点を当てていることである (「叛乱」とは本質的に人々と遊離しない行為であり、「私たちみな」をつなぐ行為であるので、こうした自分と他者を重ね合わせた、つまり私たちの「たち」に対する「負」の分析があるのはすごくいい。「叛乱」はかぎられた人間の行為ではない)。次にContrastoの声明はこう締めくくられる : 「ANSWERS ARE NEEDED」 (答えが必要である)。私たちは答えを出すことを嫌がるが、Contrastoが言うこの「抑圧的な制度上の政治」がますます進歩する局面 では「答えが必要である」こともまた事実なのかもしれない。2バンド共にまさしく「Insurrezione」をうながすスラッシングなポリティカル・ハードコア・ソングを4曲ずつ収録。全編怒号につつまれる。イタリアの全23のDIYパンク/ハードコア・レーベルによる協同リリース。

 

NEVER BUILT RUINS "Schutt & Asche" 7" (Rinderherz) ¥400
前作 "...Built To Love" 10"が個人的にかなり気に入ってたスイス/ドイツ混成ポリティカル・ハードコア/パンク・バンド "Never Built Ruins" (決して廃墟は築けない) の4曲入りニュー・シングル。今作も前作の延長線上にあるロッキンかつメロディックなクラスト・パンク/ハードコア・アンセムで燃える。彼らは、一連のジャパニーズ・ハードコア・インフルエンスドのジャーマン・ハードコアーーDoomtown、Bombenalarm、Burialなんかとも比較ができよう。しかしこれらのバンドほどジャパニーズ・ハードコアの影響は少なく、どちらかというと純粋にTragedyの影響が強いように思う。ただし前作の10"がヨーロッパで高い評価を得たように、決して「クローン」(聞いてもいないのに、あるいはだれかがそう言ってたからといって、あるいはこの種のタイプにかぎって、この表現に踊らされるのはもうやめよう。それは結局「仲間」を「音楽だけ」で判断してる証拠だし、そうすることはつまり私たちパンクスが敵対させられていることだと気づこう。私たちパンクスがもっともやっちゃいけない行為である。そこにはパンク/ハードコア・シーンの「階級」があるからだ。そう判断する前に、とりあえずなんでもてめえでやってみることだ) などではなく、完全に「Never Built Ruins」のスタイルをつくりあげている。聞いて一発で分かるのだ。歌詞も燃える。"Never Built Ruins" (決して廃墟は築けない) というバンド名もまさにという感じだが、この世界に廃墟を築く連中に対して一歩も引かないその態度も同様にこのバンドのかっこよさだろう。ちなみに"Fortress" (要塞) は反E.Uソングである。

 

MENY HELLKIN / THE BUNCH split 7" (213 Records) ¥400
フレンチ・ポスト・ハードコア〜ポスト・パンクによるスプリット7"。Meny Hellkinは、元/現Shall Not Kill、Dead For A Minute、Hyacinth、Short Supplyによるニュー・バンド。本作は、1stアルバム “Amputation day” LPに続く新作となるようで、私は今作で初めて彼/彼女らに触れた。このバンドのメンバーのやっていた/やっている諸バンドを見るだけで期待しつつ聞いてみたが、それはもちろん裏切るものではなかった。本作を聞くかぎり、統一された不穏感を持ちながら、Short Supplyのメロディアスなエモーショナル・ハードコア色あり、Shall Not Killのスラッジ/ストーナー色ありーーそれらの2つのバンドの要素が上手くミックスされた感じだ (簡単に言えば)。だが、安易になにかに形容できるようなサウンドでは到底なく、このバンドは、それらの2つのバンド以外に、Drive Like Jefu、Refused、Soundgardenらの名前を挙げることができると思う。とりわけ2曲目のサイケデリックな重苦しいスラッジ/ストーナー・パートから、ニュー・ウェーヴィーなダンサブル・パートに移行していく "Seize The Silence" (沈黙を捕らえろ) が秀逸。これはかっこいい。このバンドはex-GantzのHiroとも08年に共にツアーした模様。方や、The Bunchは、キーボード奏者含む4人組で、デモに続いて本作が正式なデビュー作となるようだ。かなりニュー・ウェーヴ色濃いポスト・パンク・サウンドで、全編屈折したダンサブルなナンバーで占められており、個人的にはドイツのRobocop Krausを思わせた。そして両バンドの歌詞は、この社会のすべての人々が分かっていながら、口をつぐんでいる「闇」に挑戦しており、その意味で非常に重要な作品と言える。Rosapark / Richard Durn - split LPのリリースでも知られるフランスの213 Recordsからの入荷。

"Seize The Silence" (沈黙を捕らえろ)

俺たちが他人は要らないと理解するのは分かりきっている
未来の形を決めるため舵を切って戻れ
俺たちは沈黙を捕らえる
俺たちはいかなる足並みも取り戻しちゃいない
俺たちは人里離れた大地と敵対的な波を通じて伝えたい
俺たちが互いを当てにすることを学んで以来恐怖は死んだ、ということを

- Meny Hellkin

"I've Got To Touch" (触れなきゃならない)

きみが知りたいのなら
俺は触れなきゃならない
きみが知りたいのなら

- The Bunch

 

OI POLLOI "In Defence Of Our Earth" LP (Nikt Nic Nie Wie) ¥900
"In Defence Of Our Earth" (われわれの地球を防衛して)ーーこのスローガンと言えばスコティッシュ・アナーコパンクスのOi Polloiである。現在のかれらのバンド・ロゴにも使用されているこの "(No Compromise) In Defence Of Our Earth" のスローガンは、かれらのセカンド・アルバムである本作から使用されたものであった。

言わずもがな、彼らが1990年に今は亡きUKのWords Of Warningからリリースしたこの大名作が、ポーランドのNNNWよりリマスターされLPで遂に再発。また本作は、"In Defence Of Our Earth" (われわれの地球を防衛して) のタイトルからもお分かりいただけるように、全曲「環境保護」をテーマに書かれたコンセプト・アルバムである。

しかし今聞いても今なお現代に生き続ける作品だ。怒り漲るOi Polloi節全開のアナーコパンク・サウンドと共に途方もない地球への愛に満ちたちから (というより、NNNWの説明にあるようにもはや「地球のちから」と言うべきか) がこれでもかと詰め込まれている。それは、ある重要な事を欠いたあらゆる「環境保護」を葬り去るのである。地球は帝国主義の最初の犠牲者であった。そしてその帝国主義 = 略奪者の一部としてある「われわれ」は、その「われわれ」を認識することから始められなければならない。ということの :

" ONLY ONE THING STANDS IN THEIR WAY - YOU " (一つのものだけがならわしの代理人となる - きみだ) - Oi Polloi

本作に載せられた以下のアメリカ・インディアンのホピ族の予言は、略奪者の一部としてある「われわれ」への招待状、いや挑戦状なのかもしれない。本作の目的もまたこのホピ族の予言を「現実」にするための飽くなき挑戦である。

" 地球が破壊され、動物が死ぬとき、あらゆる人種、信念、カラーからの人間族は再び大陸を緑にするために言葉ではなく行為に信頼を寄せるでしょう。かれらは虹の戦士、環境の保護者として知られることになるでしょう。 "

HOPI INDIAN PROPHECY

新たに再編されたポスター型のブックレット(スリーブ) には、かれらの歌詞 (英語) とポーランド語訳を掲載。および新たに書かれたバンドからのインフォを掲載。

"In Defence Of Our Earth" (われわれの地球を防衛して) - Oi Polloi

 

UZ JSME DOMA "Pohadky ze Zapotrebi - Bajki z Potrzeby - Fairytales From Needland" LP (Nikt Nic Nie Wie) ¥900
80'sチェコ・パンク・バンドである "FPB" から派生したこのUz Jsme Domaーーバンド名を緩やかに翻訳すれば "now we're at home" (今われわれは家にいる)ーーそれは "now I get it" (今われわれは家を得た) を意味するーーというチェコ語の表現となる。このバンドは1985年にスタートしたようだ。彼らは、当時共産党体制下にあったチェコ (当時は「チェコスロバキア」) において、政府によって「反社会的に」押し込められながら、違法なコンサートをこなした。そして彼らは、1989年のビロード革命における11月17日の学生抗議、続く政府を危機に陥れた出来事の結果 として、新たな時代のシンボルーー言い換えれば「解放の繁茂」と言うべきシンボルとして上昇した。以上は、彼らのMySpaceより勝手にまとめたが、彼らは、そうした共産党体制における抑圧の歴史を経て、「システムが変わろうとも」現在もなおそのシンボルとして精力的に活動を続けている。という感じだろうか。本作は、彼らが1995年にリリースしたアルバムを、ポーランドのNNNWがリマスター・バージョンのLPで再発したもの。NNNWの説明には「彼らは、The Ex、Dog Faced Hermans、Guts Pie Earshot、最近はSubmission Holdのようなバンドによって切り開かれた領域に進んだ」、とある。興味を持った方は、その唯一無比のフリー/アバンギャルド/エクスペリメンタル・パンク・サウンドを本作で確認してみてほしい。彼らがなぜ新たな時代のシンボルとしてあった/あるのかも理解できることと思う。

 

COMPLICITE CANDIDE "Rad Potvrzuje Chyba!" LP (Nikt Nic Nie Wie) ¥900
チェコはロズノフ (Roznov) にある自主管理スペース "VRAH" を拠点にする "VRAH Punks" こと "Complicite Candide" (通称CO-CA)ーーかれらは既に15年も活動する同地のベテラン・ポリティカル・ハードコア・パンクスだ。本作は遂に4枚目まできたかれらの待望のニュー・アルバム。そして本作は現時点でのかれらのマスターピースと言い切ろう。"Czech DK'S" の異名もどこかで聞いたことがあるかれらだが、それは否定しない。ビアフラを思わせる毒々しいヴォーカル・スタイル、屈折しつつもノリノリかつ怒ってもいるサウンド、「刺」どころか「釘」のあるユーモアに満ちた政治的な歌詞とどれをとってもDK'Sの影響は大きいだろう。しかし、かれらはアメリカのバンドではなく、チェコのバンドである。かれらは昔のバンドではなく、今のバンドである。したがって、かれらはDK'Sではない。ということを念頭に聞いてもらえたらと思う。それは次のことにも言いうることができよう。ジャケはかの有名な「9.11」のツインタワー崩壊の絵である。本作にはこの出来事に関する曲ももちろん収録されている。"Krmic Del / Gun-Feeder" (銃供給者) と題されたその曲は、この出来事を利用して私たちすべてが「Gun-Feeder (銃供給者)」の「銃」として使用されたことを唄ったものだ。しかも私たちはその銃の弾丸を餌にみずからロケット弾を率いてしまったと。世界が震撼した「9.11」から私たちは何を学んだのだろうか? 今なお世界中のDIYパンク/ハードコア・バンドがこの出来事に対して「しつこいまでに」執着する理由をこの曲で考えてみるのもいい。私は「かれらはDK'Sではない」と先に述べた。なぜなら、あるバンドが言うように「世界は劇的に変化するが、本当の利益のために変化するというわけじゃない。」ということを時代を通 じて常に見続けているのが私たちパンクスだからである。だから「かれらはDK'Sではない」。歌詞訳は以下に :

"Krmic Del / Gun-Feeder" (銃供給者)

大量の核弾頭
人権のシンボル
核の店
飢えで苦しまないでください
毎日ますます腹ぺこ状態

テロリスト、銃供給者はどこのどいつだ?
テロリストはどこのどいつだ、そいつがエンジェルか?

半分のパンの代わりに一個の弾丸
あなたの腹は満たされた、だから我われに加わってください
我われは忠実な不-良心、飢饉、エイズなんか気にしない

どこのどいつだ...
テロリストはどこのどいつだ、そいつが仮面を被っているのか?
ガーディアン・エンジェルのな

ニューヨークは燃えている
双子は崩壊する
国家のイメージは低められるでしょうに
無と取るに足りない人間によって
率いられるロケット弾
10億人が溺れちまった!
兵器競争計画の中で

テロリスト、銃供給者はどこのどいつだ?
テロリストはどこのどいつだ、そいつがエンジェルか?

- Complicite Candide

 
ODSZUKAC LISTOPAD "The Masque Of Slight Discretion" CD (Nikt Nic Nie Wie) ¥900
ベタベタの老舗アナーコパンク・レーベルという印象が強いポーランドのNikt Nic Nie Wieだが、実は国内のDIYパンク/ハードコア・バンドを全般的にサポートしている幅広いレーベルだ。そんなNikt Nic Nie Wieから新たに次のバンドがデビューした。このOdszukac Listopadは、ポーランドの山岳地帯であるNowy Targ (ノヴィタルグ) 出身のエモーショナル・ハードコア・5ピース。そして本作は、2005年にリリースされた1stアルバムに続く2ndアルバムとなる。実にモダンなサウンドを奏でているバンドだが、とりわけUSのVagrant Records周辺のバンドーーAlexisonfireやFrom Autumn To Ashesの影響が強く、メタリックなサウンドおよびメランコリック&ビューティフルなメロディのミックスが秀逸。ヴォーカルも絶叫と唄を使い分けるタイプで、その辺も共通 項があると言えよう。Refusedのような強固さも持っており、それがまたこのバンドのパワーを増幅させている。しかし本当に緻密に構築されながら、テンションが落ちないサウンドは聞き応え十分。歌詞は前回はすべてポーランド語で唄われていたが、今回はすべて英語。全11曲収録。
 

OI POLLOI "Ar Ceol Ar Canan Ar-@-mach" Tape (Nikt Nic Nie Wie) ¥400
言わずもがなスコティッシュ・アナーコパンク・レジェンド "Oi Polloi" (兼 "Anti Fascist Action") の2006年リリースの最新アルバム "Ar Ceol Ar Canan Ar-@-Mach" のプロコピー・テープ・バージョンがリリース。リリースは、Oi Polloiと言えばこのレーベルーーポーランドのNikt Nic Nie Wie (このレーベルは、彼らのレコードをリリースしているだけでなく、彼らの入手可能な作品はほぼディストリビュートしている) から。

このアルバムは、1999年にリリースされた "Fuaim Catha" (Skuld Releases - LP / Combat Rock Industry - CD) から数えると実に7年振りのフルアルバム (その間に7", split LPなどのリリースはある) で、近年の最高傑作であったその "Fuaim Catha" に次ぐ彼らのベスト・レコーディングだろう。超メロディアスかつポップな要素から、ひたすら攻撃的な要素、緊張感漲る不穏な要素、彼ら固有の「ケルト系 (Celtic)」の文化を反映させた民族的な要素まで、彼らの魅力が入り交じるしかし新生Oi Polloiを感じさせるようなまさに現時点のマスターピースな内容。シンセの導入が「新生Oi Polloi」そのことにさらに拍車をかける。近年はよりOi & ストリートパンク色を強めている彼らであるが、その結果 の集大成とも言えるだろう。

彼らはまた近年より「公用語化」はされているが「抑圧されている言語」の「ガーリク - スコットランド・ゲール語 (Gaelic)」で唄い始めているが、このアルバムもまたすべてその母国語で唄われている。本作のテープ・バージョンには、オリジナルのCDバージョンにはなかった英訳が付けられている (逆にそのゲール語の歌詞はなし)。彼らの声明の一部を以下に :

「ここにあるこれらの曲は、われわれ固有の文化を防御するその闘いの一部だ - とりいそぎ付け足せば、なんらかの偏狭な愛国心から - しかし多様性の価値と異文化の尊重という信念から。」

そしてOi Polloiと言えば、いわゆる「イスラエルーパレスチナ問題」への言及・追求だろう。彼らほどこの問題に対して「しつこく」言及・追求し続けているDIYパンク/ハードコア・バンドは、今のところ世界中見渡してもちょっと見つけるのが難しい (もちろんそれが「良い・悪い」ではなく、量的なことでもない。世界中の多くのDIYパンク/ハードコア・バンドもまたこの問題に対して言及・追求している「現実」も忘れてはならない。ちなみに、イスラエルの「DIY」を標榜するパンク/ハードコア・バンドは除く。それは必然とだけ言っておこう)。だが、絶対に忘れてならないのは、彼らは一貫してこの問題を「イスラエル (人ではない) への糾弾ーパレスチナ (人である) への連帯」という立場で言及・追求し続けている、ということだ。本作にもむろんこの問題に言及・追求した曲がある。この問題の「現実」は、彼らを「音楽以上」で聞くことで分かる、と言っても過言ではない。現在のいまだ「イスラエルーパレスチナ問題」で語られる状況を見るにつれ、暗たんたる気持ちになることに従って、以下の歌詞を訳出しておく :

"Cait A Bheil An Armached Leir-sgrios?" (大量破壊兵器はどこだ?)

大量破壊兵器はどこだ?
大量破壊兵器はどこだ?
大量破壊兵器はどこだ?
大量破壊兵器はどこだ?

このウソでどれくらいの人間が死んだんだ?

大量破壊兵器はどこだ?
大量破壊兵器はどこだ?
大量破壊兵器はどこだ?
大量破壊兵器はどこだ?

Faslene, Dimona, Porton Down

そこが大量破壊兵器を見つける場所だ
そこが大量破壊兵器を見つける場所だ
そこが大量破壊兵器を見つける場所だ
そこが大量破壊兵器を見つける場所だ
Israeli, Britain, America
Israeli, Britain, America - 大量破壊兵器!

- Oi Polloi

( 註 : Faslene, Dimona, Porton Downはイスラエルの核施設がある場所)

 
PUBBLICO OLTRAGGIO / MESS MESS MESS split CD (No Flags) ¥800
2バンド共にイタリアの3ピースのDIYファッキング・パンクロック・バンド。また、両者共に80's UKハードコア影響下ストリートパンク系統のサウンドだが、ほとんど異質のものと言っていい。まずは、「Anti-Racism・Anti-Capitalism・Anti-Religion」をバンド・スローガンとして前面 に出すほど (彼らのMySpaceより)、人種差別・資本主義・宗教に対しては決して沈黙せずのポリティカル・アティテュードを持つPubblico Oltraggio : 彼らは、こうした系統の特徴と言っていいシンガロングの多用から生み出されるポップさと、荒削りでつんのめるような勢いが見事にマッチしている。レゲエ・ミュージックの要素も取り入れ、言わばポリティカル・レゲエ・パンクスといった様相もあり。全11曲。次は、Mess Mess Mess : 本作は、1st LP "Could You Bet..." に続く新録。こちらは正統派の「UK'82スタイル」といった感じだ。シンプルなサウンドながら、一言曲がよい。メロディアスで熱い。しかもそこそこの重量 感もあり、曲のパワーも十分。そして、政治家や警察なんて信じないパンクスのために叫ぶ歌詞が曲のよさに拍車をかける。彼らも全11曲収録。Expelledの "Government Policy" のカバーあり。
 
NOVI CVETYA "s/t" 7" (We Don't Fight It) ¥400
79年の結成から現在も活動を続ける (しかしデビュー・アルバムをリリースしたのは2004年。そしてそれはそれまで一度も音源化されなかった過去の録音を収録した編集盤だった。後2007年にニュー・アルバムをリリース。) 80's ブルガリアン・パンクロック・レジェンド "Novi Cvetya" (New Flowers) のニュー・シングル。とはいえ、新録ではなく、80年から91年までのオールド・ソング5曲を収録したドキュメント的内容。イギリスのSham 69やUK Subs、あるいはイタリアのNabatといった70's (〜80's) Oiスクール・バンドの影響色濃い彼らのサウンドは、ほとんど知られることのないこの地のパンクスがこれらの時代に何を叫んでいたかの貴重な記録でもあるだろう。歌詞はブルガリア語だが、新たに英語の解説が付けられている。ギリシアのWe Don't Fight Itを始めとして、フランスのDarbouka Records、Kawaii Records、USのVinehell Records、Drommusikなど全6レーベルによるCo-Release。
 

MOB RULES "The Donor" 7" (SuperFi) ¥400
これは世界的に見ても純粋に「パワーバイオレンス」と言えるバンドのひさびさの登場かもしれない。このMob Rules (暴徒規則あるいは暴徒最高) は、ex-Birds Of Pray、Mock Heroic、Like A Kind Of MatadorらのメンバーによるUK産パワーバイオレンスのニュー・カマー。ズバリMan Is The Bastard、あるいはInfest、あるいはCrossed Out直系。大げさでなく瞬発力とヘヴィにうねるパートのクラッシングな融合はそれらの元祖バンドにも劣らない。ジャケやアートワークもそれらのバンドとの共通 項を多分に感じさせるものだ。そして、彼らの大暴れサウンドの源流はやはりこのバンド名 "Mob Rules" (暴徒規則あるいは暴徒最高) にあった。 とりわけ "Sick Culture" (病的文化) は、苦痛と無関心から成るこの "Sick Culture" (病的文化) からわれわれがどう脱出するかのヒントを与えてくれる。彼らが唄う「俺はノーを言うために大騒ぎするぜ」・「暴力を具現化するぜ」といった "Mob Rules" (暴徒規則あるいは暴徒最高) は、簡単に言ってしまえば、たんにわれわれの「トレーニング」なのだ。この意味が分かる? 「暴徒」(あるいは「暴動」) と聞いて非難や「分析」している場合じゃない。では、このバンドを聞いて、"Mob Rules" (暴徒規則あるいは暴徒最高) を存分に行使してほしい。

"Sick Culture" (病的文化)

俺たちはウンザリするような文化の中に生きている
苦痛と無関心から成る
俺は商品だ、放蕩息子だ
俺のからだは鋳型の枠だ
俺の行動は出生からプログラムだ
俺はノーを言うために大騒ぎするぜ
暴力を具現化するぜ
悪用に次ぐ悪用
俺は沈黙に恐れをなす
調和された願望
暴力から成る病的文化に

- Mob Rules

 
TOTAL BANXAT "Shadow Of Death On Dying Planet" CD (Maca Ataka) ¥900
日本のSpeed State Solidからの1stアルバム "Aksi Pembantaian Oleh Serangan Militer" (軍事侵略における虐殺行為) に続くインドネシア・ジャカルタの "Total Banxat" ("Banxat" は、ジャカルタ特有の言語「ベタウィ語」で "Bastard" を意味する - Speed Stateのウェブサイトより) の2ndアルバム登場。今回は全19レーベルが参加したインターナショナル・コンスピラシーによるリリース。「Raw As Fukk Assault」の自称も納得。80's〜90'sスウェディッシュ・ハードコア・インフルエンスドなサードワールド・ロウ・Dビート攻撃が止めどもなく繰り出される。全パートがまさに「攻撃」という様相を呈しており、全編に包まれる暗い雰囲気がまたこのバンドの緊張感を高めている。ちなみに本作には3つのセッションが収録されており、どれも強力な仕上がりだ。しいて言えば、2008年9月に録音されたばかりの最新セッションがいい。しかし重い。Peace Or Annihilation、Bombardir、Wolf Pack、Disruptのカバー含む全21曲。 歌詞には、英訳、日本語訳、スペイン語訳、ドイツ語訳の四か国語訳付。インターナショナル・コンスピラシーのちからも最大限に発揮されたこんにちのグッド・ポリティカル・ロウ・Dビート・レコード。
 

WARVICTIMS "Scarred For Life" CD (Maca Ataka) ¥900
現在世界中のDIYクラスト・パンクスから絶大な支持を集めるスウェディッシュ・Dビート・ロウクラスト・マッドネス "Warvictims" のディスコグラフィーその1。自身のレーベル "D-Takt & Rapunk Rec." を含め、世界中のDIYパンク/ハードコア・レーベルから既に膨大な数の作品をリリースしている彼らだが、本作は、エクアドルのMaca Ataka及びペルーのBarricada Discosからのいわば南米版ディスコグラフィー (歌詞のスペイン語訳あり)。本作には、2006/2007年に録音された初期音源を収録で、"Krigsoffer E.P." 7" (Svaveldioxid)、split 7" w/High Tension (Vinyl Eater)、"Death Is Inevitable" MCD (Diy Crust)、"When The Innocent Cry" MCD (D-Takt & Rapunk Rec.)、そして未発表1曲を含む全20曲。サウンドはうわさどおり90's初期スウェーデンど真ん中という感じで、私的には、もちろんその時代のWarcollapse、Disfear、あるいはAnti-Bofors (pre-Disfear) なんかを思わせ、これは本当にエクセレントなバンドだ。 自国語・英語で唄われる歌詞に関しては、バンド名、白黒で統一されたアートワークからも分かるとおり「戦争一色」である。しかしこのバンドがいわゆるクラスト・バンドの通 例をなぞっているからとはいえ「またか」、とはならない。それはブックレットの背面 をまるまる使った彼らの戦争に抗する想像力とアイデアにある。そこにはJeane J. Kirkpatrick (アメリカの政治学者、外交官、反共産主義者 - Wikipediaより。) の次のことばだけが載せられている :

"われわれは戦争をしています。少なくとも紛争への加担者の一人が重要なものを望むとき。平和を望む以上に。"

- Jeane J. Kirkpatrick

 
TRIGGER TRAVIS "The Zoo" CD (Carnus) ¥800
X-pain (スペイン) はバスク州 (バスク国) のインスピレーショナル・ロッキン・ハードコア "Trigger Travis" のデビュー・アルバムが、Carnus、Devil Child Records、Dias de Juventud、Punk Machineのスペインの全4レーベル協同によりリリース。非常にソウルフルなシャウトを武器にもつ女性ヴォーカルがフロントのこのバンドーーそのサウンドは、Refusedの影響色濃い非常にロッキンなもので、力強い演奏とも相まってそうした彼女の魅力を十分に堪能させてくれる。ある種のファンキーささえ感じさせるうえに、もちろん底に在るのはハードコアのパワー、聞いててとにかく力がはいる。心を打たれるのみならず。歌詞もまったく「ソウルフル」だ。 "Describe People" (人間記述) は、「だれも生きて私と話さない」この社会の「うそつき」現象を唄ったもの。彼女は叫ぶ : 「私はかつてうそつきと共にいた」〜「私はあんたのいまいましい親戚 じゃない」ーー「私はあんたらの目の前の赤ん坊じゃない」。タイプはまったく違うが、スペイン・サラゴサのCriaturaが好きなパンクスにも薦めておく。全7曲。
 
STOCKYARD STOICS / THE FILAMENTS "The Special Relationship" split 7" (Carnus) ¥400
"The Special Relationship" (特別な関係) と題されたStockyard StoicsとThe Filamentsによる友情スプリット。まずは、NYCのアナーコ・ストリート・パンクス "Stockyard Stoics"。既に2007年に解散したようだが、本当に惜しい。それほど身体を熱くさせられた。そのサウンドといえば、The Clash及びStiff Little Fingersの影響を膨大に受けた77〜80年スタイルのブリティッシュ・パンクロック (ジャマイカン・レゲエ/スカの要素も取り入れた) で超力強いものである。それだけでも十分だが、そのうえこの「偽りのない」歌詞ときたら、もう私の言わんとしていることは分かるだろう。ラスト・ソング "Socialized" (社会化) がとくにいい。これは、率直に言えば、「社交的になんぞなるな。社交的になるなんぞ沈黙だ」ということである。「俺たちの嘘」そして「奴らの嘘」ーーそこにはいかなる違いもない。これこそが「社会化」であると。この曲の最高潮の盛り上がりはここだ : 「俺たちはお前をとおして嘘を見抜くつもりだ。注意するか、社交的にされるか。俺たちはお前に圧力を加えるつもりだ。注意するか、奴らの嘘を信じるか。奴らの嘘を信じるな。」。本作がおそらくラスト・スタッフ。そして、UKのポリティカル・スカパンク・アップスターズ "The Filaments" である。彼らは、ホーン・セクションを含む6ピースのバンドで、このバンドの説明は彼ら自らの説明を引用するのがもっとも適切だろう : 「The Filamentsは、Rancidの創意に満ちた曲が詰まったアルバム "Let's Go!" およびConflictの "The Ungovernable Force" の政治的挑戦の間の溝を完璧に埋めている。」 (taken from their myspace)ーーまさに。"Brainwash" (洗脳) では、キリスト教右派による洗脳こそが、「人々を嘘つきにし、人々を殺害し、人々を盲目にしている」と唄う。両バンド共に3曲ずつ収録。 Carnus (Spain)、Fight For Your Mind (France)、Household Name (UK), Fistolo Records (USA), Concrete Jungle (Germany)、 Roots Rock Rebel (USA) の全世界6レーベル協同。Stockyard Stoicsのステッカー及びミニ・ジン付。これぞ「No bullshit DIY punk rock」 (by Fistolo Records)。
 
ABOLISHING THE BORDERS FROM BELOW #33 zine (October 2008) (Abolishing BB) ¥400
今回も内容充実。多種多様な東欧アナキスト運動の最新情報満載のベスト・アナキスト・ジャーナル "ABB" の最新33号。その内容は以下に : 「カフカースでの新たな戦争に向かったアナキストたち」 / 「資本主義社会におけるフリー/オルタナティブ・メディア」 - 反論、インタビュー、プレゼンテーション / 「ブルガリアのアナーキー」 - ブルガリアン・オーガナイザー及びジン発行者のインタビュー / 「労働闘争」 - ポーランド、チェコ、スロヴァキア、ルーマニアのストライキと労働者の闘い / 「Bartek Kantorczykインタビュー」 - 昨年のポーランドでのもっとも大きな山猫ストの創始者 / 「ロズブラットの危機」 - ポーランドのアナキスト・センターの事実状況に関する報告 / 「EUの移民ハンターを止めろ!」 - Frontexに反対する行動からの報告 / 「南オセチアの戦争」 - カフカースの戦争地域に行くロシアのアナキストたち / 東欧アナキスト史の未知の瞬間 - ブルガリア及びウクライナからの史料 / ノーボーダー・キャンプからの報告 / ロシアの反ファシズムに関するアナキスト討論 (継続) / 「ブルガリアでの初のゲイ・プライド・パレード」 - 報告 / ほか。すべて英語。
 

COP ON FIRE "Tus Ilusiones Hacen de Ti Un Iluso" 7" (Barrage Of Salt) ¥400
Cop On Fireが戻ってきた。どちらも今日的なDビート・スカンジ・スラッシュの名作であった2004年の1st LP "s/t"、2005年のsplit LP/CD with Visions of Warから3年ぶりの新作である。また本作は、USのBarrage Of Saltからリリースされており、2008年10・11月に敢行されたU.S./メキシコ・ツアーに合わせたものでもある。このバンドをどこかの国の単体のバンドと誤解している人もいるかと思うので、一応説明しておくと、彼らは、Spanish/U.S.混成のインターナショナル・バンドである。しかも、そのメンバーは、Ekkaia、Madame Germen、Leadershit、そして、Consume、Decrepit、State Of Fearという凄ぶるメンツなのだ。さて、本作に収録されている全4曲だ。これぞCop On Fireの真骨頂としか言いようがなく、期待を裏切るわけはない。猛り狂うDビート・スカンジ・スラッシュには興奮の一言だけである。それに加え、このバンドの魅力は何と言ってもそのワイルドなロックテイストにもあるだろう。それが生み出す尋常ではないノリのよさは本当に言葉では言い表せない。攻撃的・反語的側面 の両面を巧みに兼ねそなえた歌詞はスペイン語と英語の両方で唄われている。彼らの猛り狂うこのサウンドはそうしたアティテュードに裏打ちされたものでもあるのだ。いくつか歌詞の説明をしたい。まずは、ロボトミーを引き合いに出したその名もそのままB1の "Lobotomy" (ロボトミー) : この曲は、その「人間性を奪う」手術が今なおいたるところで続けられていることを指摘すると同時に、私たちの「あらゆる仲間」を守るためのヒントが隠されている曲。彼らはこう叫ぶ : 「お前の仲間に薬物を取らせるな」ーー仲間にそうさせないためには私たちは何を学ばなければならないのか? そして面白かったのがB2の "Real Activists Listen To Manu Chao" (本物のアクティヴィストはマヌ・チャオを聞く) : この曲は、"Manu Chao" (マヌ・チャオ) (スペインの「レベル・ミュージック」を標榜するメジャー資本傘下の大人気アーティスト。元マノ・ネグラ) を引き合いに出し、「Cop On Fire (警官に火を放て) 」という自分たちのバンド名の意味がまったく理解もされず、自分たちのレコードがレコードオタクの棚に収納されることに真っ向から反対すると同時に、パンクスを「本物のアクティヴィスト」に対峙させ、パンクスを奮い立たせる曲。マヌ・チャオを引き合いに出したのは、「本物のアクティヴィスト」は、マヌ・チャオを聞いて「さえも」、警官に火炎瓶を投げてるぜ、という皮肉だろう。おそらく。彼らの真骨頂はまたこのDIYパンクスな立ち位 置とMore Than Musicな立ち位置を絶対に揺るがさないことである。パンクス (私たち) の諸「現実」を繋ぐバンドとはこういうバンドのことなのだ。以下に歌詞の全容を :

"Lobotomy" (ロボトミー)

左瞼にアイスピックだ
前頭葉にいたる骨を貫通して
敏感な区域に前に後ろに
同じだ、同じ右側手術だ

身体を保持するためだけの脳破壊
50年代に、10,000回のロボトミー

左瞼にアイスピックだ
前頭葉にいたる骨を貫通して
敏感な区域に前に後ろに
同じだ、同じ右側手術だ
同じ手術が今まさに

化学収監施設はもういらない
精神外科はもういらない
お前の仲間に薬物を取らせるな
化学収監施設はもういらない
精神外科はもういらない
お前の仲間に薬物を取らせるな

"Real Activists Listen To Manu Chao" (本物のアクティヴィストはマヌ・チャオを聞く)

Cop On Fireは死んだ
収納されるからだ
1000枚のD-Beat LPの間にな
そうだ
レコードオタクのアパートん中のだ

本物のアクティヴィストはマヌ・チャオを聞く
本物のアクティヴィストはマヌ・チャオを聞いたほうがまし

Cop On Fireなんか聞くんじゃねぇ!
それよか警官に火を放て (Set A Cop On Fire)!

Cop On Fireがなんだ!
Cop On Fireなぞクソくらえ!

俺たちのレコードなんか捨てちまえ
そして警官に火を放て (Set A Cop On Fire)!!

- Cop On Fire

 
RAKKAUS "Kuolevan Maailman Hiljainen Kirous" 7" (Barrage Of Salt) ¥400 Restocked
ヤング・ポリティカル・フィメール・フロンテッド・フィニッシュ・パンク/ハードコア "Rakkaus" のセカンド・シングルが、ファースト・シングルに引き続き、同じくシアトルのBarrage Of Saltから。前作よりさらによくなった彼らの今作は、前作と同路線の80'sフィニッシュ・ハードコアが核にあるレイジングなサウンドはそのままに、メロディも強調した音作りになった。ますます好みの音である。「もう同じような古くさい話は聞き飽きたわ!」といったパワーをガンガンに感じさせるヴォーカリストは、権力や権威が作り上げた退屈なシステム・ストーリーに対する嫌悪感を叫び、その様がまた共感を覚える。
 

PROTESS / SIGNAL LOST split 7" (H.G.Fact) ¥800
存在感ある女性ヴォーカルがフロントの北海道・札幌のProtessとUSテキサス・オースチンのSignal Lostによるスプリット・シングル。本作はまた「絶妙な組み合わせ」となった傑作と言えよう。まずProtessは、高知のDan-Doh RecordsよりリリースされたV.A - "Terro-Rhythm #3"の参加から3年ぶりとなる音源で、ニュー・ギタリスト加入後新体制となっての初音源。今年で彼らは結成10周年となるそうだ。私自身のことで言えば、彼らが1stデモをリリースした結成当初から連絡を取り、またそれをディストロし、以後も関係がしばらく続いていたという経緯もあり何かと思い入れのあるバンドである。というわけで、久々に彼らを聞けるということで本作は非常に楽しみにしていた (Terro-Rhythm #3は未聴だったので)。当時はUnhingedといったヨーロッパのいわゆる「エモクラスト」と呼ばれる系統のサウンドと比較されもした彼らだが、その頃から独自のProtess節はあった。本作は、そのProtess節を再確認できるものであり、彼らはそれをより追求し完成させていた。勢い激しいハードコア、豊かなメロディ、そして練りに練られた長い構成により形づくられる今のProtess節は、まさにその証しと言っていい。"英断の扉" (The Door)、"冷たく包む時を歩め" (I'll Walk On Time Alone) (この曲は、Assault、ex-Hellbentの故Kaoru氏に捧げられた曲) 共に文句なし。方や、Signal Lostも聞くのを非常に楽しみにしていた。USのPrank Recordsからリリースされた1stアルバム "Children Of The Wasteland" から大ファンだったからだ。大ファンだった理由はまた彼らが素晴らしいポリティカル・パンク/ハードコア・バンドだからである。サーフ/ガレージ、77'sパンクロック、UKアナーコ/ピースパンク、80'sニューウェーブらにヒントを得たその唯一無比のメロディック・ポリティカル・パンク/ハードコアは、とにかく「生」そのものだ。歌詞も言わずもがなである。彼らの歌詞に接するとーーとりわけ本作に収録されているものについて言えば、「自由」や「夢」が決して「イメージ」でないことに気づかされる。そしてこう問うてくる。それらは闘わずして得られるものじゃないのではないか。ゆえに、既に在るものとして私たちに「安全」を与えるそれらと闘えと。なぜなら、「この動物は忘れられ、虐待され、遠吠えする」 (- Freedom Cage) を常に繰り返しているからだと。本作には、2ndアルバム "Prosthetic Screams" と同じライン上にある全2曲を収録。このバンドは、2007年に解散、J-Church、Severed Head Of State、Terror Management Theory (ベーシスト "Jasmine" の現バンド)、Deathreatらのメンバーからなるバンドであった。後は、フランスのStonehengeの反セクシズム・コンピの音源を残すだけである。フロント・カバーは、彼らの1stアルバムも同様に手掛けたLydia Crumbleyによるもの。H.G.FactとPrank協同によるグレート・リリース。

"Freedom Cage" (自由の檻)

非常に長い間閉じ込められた
この動物は忘れられ、虐待され、遠吠えする
ささやかな金と楽園の血をえさにして
落ち着かず夜に逃れる
パニックに陥る必要もなく、めざましの必要もなく
家の心地よさから遠くにさまよわない
両手が広がる安全なところにいつも戻ってくる
私たちの檻はずっと開いている
いったいどうして外の世界に行くのだろうか?

- Signal Lost

 
LA VENDETTA "Amanece En El Infierno" CD (El Paso) ¥900 Restocked
コロンビア・ボゴタの女性ヴォーカルのアナキスト・ハードコア/パンク・バンド "La Vendetta" のファースト・アルバム。Resistのようなアナーコクラストを基本にし、それをモダン・クラスト・タッチに仕上げつつ、さらには、コロンビアのDIYパンク/ハードコア・シーンに多いメタル・ハードコアの要素を多少加えたような、ちょっとユニークなサウンドをプレイしているこのバンド。しかし、その基本が全体のほぼを占めているので、どちらかというとアナーコパンクや、クラストコア・ファンの方に薦めたいバンドである。ゲートフォールド仕様のカードボード・ジャケットには、スペイン語/英語の歌詞を掲載。その歌詞は、何より奴らのシステムに無知にされることを拒絶し、何より奴らのシステムに対する抵抗を押し進めるストレートなもの。全7曲。
 

WARTORN "Tainting Tomorrow With..." CD (Crimes Against Humanity / Profane Existence) ¥1,000
グレート。この評価から始まるレビューは心底そう思っていることの証明である。そしてそれは、アティテュードを含めて、という場合がほとんどである。私的に、本作によって現存のUSAワン・オブ・ザ・ベスト・バンドになったWartornのセカンド・アルバム。全10曲収録 (エンハンスド・ビデオ・トラックを含む) で、その内の4曲は、2007年にリリースされた "Prey for Salvation" 限定7" (Crimes Against Humanity / Profane Existence) のものである。ちなみに、この7"以外の曲は当然まったくの新曲であるが、同セッションだ。現代のState of Fear!? として、そうした比較をたまに見受ける彼らのサウンドは、本作によってその比較を越えた。「越えるどころか超越。。。」とでも言いたい本当に会心の傑作である。以下は、リリース元でもあるProfane Existenceのレビューだが、音の説明をするとすれば、「まさに」という感じの適切なものなので、ここに訳出・転載する :

「ここには、POISON IDEAおよびSTATE OF FEARの名曲の彼ら独自のカバーを含む、80年代のアメリカン・ハードコア、スカンジナヴィアン・Dビート・スラッシュ、そして現代的なクラストコアからの範囲内影響を兼ね備えたブルータル・ハードコアの10の怒り漲るトラックが収録されている。」 - Profane Existence

そして、歌詞だ。俺は、一曲目 "Weight of the World" (世界の重さ) によって、このバンドに絶対的な信頼感を抱いた。それは、「こうした歌詞も書くのか」、といった嬉しい驚きでもあった (以前の作品の歌詞をちゃんと読んでないということもある)。まずはこの歌詞を以下に掲載したい :

"Weight of the World" (世界の重さ)

吐き気を感じて、沈黙に押しつぶされる
恥辱に釘づけにされる
混乱にだまされる
存在は貧弱な糸によって結ばれる
知覚にだまされる
一切が無感覚であるとき、軽減される

俺は世界の重さに粉々にされた
意識は俺の唯一の軽減だ
炎が消滅させた俺の頭の中では
医学の誘導昏睡
(今、俺の目は閉じている)

表面下での成立
誤診される (過剰医療を施される)
プレッシャーに押しつぶされる
闇に取り残される
その治療が言い訳になる

「Wartornの2人のメンバーは、トゥーレット症候群と呼ばれる精神障害を持っている。そして、俺たちの内の一人が、心的外傷後ストレス障害を持っている。俺たち自身と他者の意識や正直さは、俺たちの障害をコントロールする際、俺たちが使用した最良のツールだった。あるいは、それらに対処するまだましな。ときにこのことに対処することがどれほど困難でも、そのツールによって働き、生活の質を改善する方法は常にある。」

この曲で唄われる「世界の重さ」とは、言い換えれば、「心の重さ」である。我々は他者とのコミュニケーションが十全に取れないときーーそれはほとんどの場合において、この曲中で唄われていることを繋げれば、我々自身の「意識や正直さ」が「闇に取り残される」ことの沈黙にかき消されることを意味するのだがーーこの「世界の重さ」に粉々にされる。次に何者かがこううそぶくだろう : 「治療が必要だ」と。我々みなに共通する問題ーーそれは「自らを偽ること (偽わされること)」である。この歌詞を読むかぎり、彼らWartornは、「自らを偽ること (偽わされること)」を拒否することによって、この問題を回避軽減しているようだ。しかしながら、俺自身もこのことは真だと思う。「沈黙」と「治療」によって形づくられるこの「世界の重さ」に粉々にされないためにも、我々は互いに誠実であらなければならない。そしてそれを互いに認めなくてはならない。

「意識は俺の唯一の軽減だ」 - Wartorn

 

REMISSION "Ninety-Five To Ninety-Eight" CD (Crimes Against Humanity / Profane Existence) ¥1,000
米・北ウィスコンシン州のポリティカル・クラスト・パンクス "Remission" が、95年から98年までにリリースしたすべての音源を収録のディスコグラフィー。その収録は、Denied A Custom (Japan) からリリースされた "Temporary Service = Temporary Slavery" 7"、Spiral Objective (Australia) からリリースされた "A Few Faces Of Protest" 7"、Powerground Records (バンド自身のレーベル) からリリースされた "Fetus The Code" 7"、そして、同じくPowerground Recordsからリリースされた "Human Compassion" demo cassetteの全24曲。彼らの音や姿勢の説明に関しては、リリース元でもあるProfane Existenceのレビューが実に的を得ており、それでいてかっこよかったので、全文訳出・転載。以下に :

" Wartornがある前に、Word That Burnの前に、北ウィスコンシン・クラスト・パンクスの群れは、Remissionにおいて、先の奮闘を時計の針と反対に大喜びでモッシュした。このCDは、24トラックが収録されていて、完全な95年の "Human Compassion" デモ・カセットとすべての3枚のEPを含んでいる。これは、DisruptとCivil Disobedienceの間のどこかで巡り合わせとなった荒々しくも怒りに満ちたハードコア・パンクだ。過去からの重要な一陣の風。" - Profane Existence

 

SISTEMAS DE ANIQUILACION / ESCATO split CD (Krea Zin Limites Rcs) ¥900
「ANTI SYSTEM (反システム)」という共通項で結ばれたペルー&ブラジルのアナーコ・クラスト対決。リマのSistemas De Aniquilacionは、Los Rezios、Kaos Endemicoらのメンバーによって、2005年に結成されたニュー・バンド。数枚のコンピへの参加を得て、本作が正式なデビュー作。男性ツインヴォーカルによるスカンジナヴィア・スタイルのDビート・クラストで、とりわけ "Criminal Trap" 12" ('86) をリリースした頃の中期Anti-Cimexを思わせる。速さよりも重さに重点を置いたサウンドでなかなか強力。Anti-Cimexの "Make My Day" (その "Criminal Trap" 12"に収録) のカバー含む全5曲。そして、サルヴァドール・デ・バイーアのEscatoは、96年に結成されたこちらは大ベテラン。俺が初めて彼らを聞いたのは、2002年にリリースされたブラジリアン・アナーコパンク・コンピ "Escato / Execradores / Vala Negra / Pichi Cuervos - Compilation CD (DIY Records (Japan) / Active Distribution (UK) / Maloka (France) / Esperanza! Gravaciones (Brasil)) だから、実に7年ぶりに彼らの新曲を聞くことになる。当時の'83ブラジリアン・ハードコア路線から、さらにクラスト/ハードコア色濃くなり、曲自体もパワフルになった。最後に、「反システム」とは何か?ーーを真に示している両バンドの歌詞の一部を :

"You must love the people who look for a better world
and hate anyone who wants to destroy it. "
- Sistemas De Aniquilacion "Live. Love. Laugh. Fight."

"Give in? React?"
- Escato "React"

 
AGATHOCLES / DIOS HASTIO / THE GAJNA "Nolme" 3 way split CD (Krea Zin Limites Rcs) ¥900
ベルジャン・ミンチコア及びペルビアン・ブルータル・ポリティカル・クラストによる、2004年リリースのAgathocles / Dios Hastio split CDに、AgathoclesのJan AGのプロジェクト・バンド "The Gajna" を新たに加えた再リリース版。全曲リマスタリングされ、Dios Hastioに関しては、その2004年リリース版とは異なる曲を収録。また、本作は、2007年に、ペルー、チリ、アルゼンチン、ブラジルと四カ国に渡って敢行されたAgathoclesの南米ツアー "Tour Matadores Del Libertad 2007" を記念して再リリースされたものでもあるようで、歌詞シートには、Agathocles及びDios Hastioサイドのツアー証言、さらには、そのときのツアー・フォトも掲載。
 

PUNK//PING//PONK #1 zine (Punk//Ping//Ponk) ¥150
マレーシアのDIYハードコアパンク・レーベルーーDisarmamentのPatが始めたDIYハードコアパンク・ファンジン "Punk//Ping//Ponk" の創刊号。その内容はというと、インドネシアン・アナーコ・Dビート "Kr@ss Kepala"、シンガポーリアン・アルコサイダー・パンクス "Distrust"、マレーシアン・ポリティカル・モダンクラスト "Osmantikos"、そして、インドネシアン・アンチ=ウォー・Dビート "Peace Or Annihilation" らの東南アジアで活動するクラストパンク/ハードコア・バンドのインタビューを中心に、世界各地を含む新&注目バンドのミニ紹介を織り交ぜ、最後にレコード・レビューで構成。全36ページ。とりわけ、マレーシアにおけるパンク・ジンの不足 を感じたことが、このジンを始める切っ掛けになったという主催者Patの挨拶がよかった。彼の文章からはこう感じられる : 私たちの自主的なコミュニケーションの手段としてのジンの大切さ。また、「DIY」とはなんとシンプルなことか、という。以下に :

Hello Fuckers.
ところで、これは読むことが目的のどこにでもある安っぽいパンク・ジンだ。地元のバンドや近所のパンク・シーンをカバーする新しいジンが、マレーシアにもはやないことに気づいた後、俺はただ思いついた。だから、俺はこのクソをつくることに決めた。これがベストだと思わない。でも、俺はこれに精一杯の努力を注いだつもりだ。

 
HELLSHOCK "Only The Dead Know The End Of War" Tape (Disarmament) ¥400
もはや説明するまでもなく世界中のクラスト・パンクスの間で大人気のPDXステンチコア "Hellshock" の1stアルバムが、マレーシアのDisarmamentよりプロコピー・テープ版としてリリース。個人的には、壮大さをより追求した結果 、完璧とも言える完成度を誇った2ndアルバム "Shadows Of The Afterworld" よりも、どちらかというとまだ荒々しい (=攻撃的な ) この1stアルバムが好きだったりするのだが、本作もまた疑いなくそのセカンドと並ぶモダン・ステンチコアの傑作だろう。やはり彼らは、純粋にかっこいいと思わせてくれる存在感をこの頃から持っている。全11曲。
 

IRON CAGE "Nature Isn't Mute, Modern Man Is Deaf" CD (Pissed Off) ¥900 Restocked
ex-Dandare、The Last Mile、Los Asesinos De La Superficialidadらのメンバーが新たに結成したオランダのポリティカル・エモティブ・ハードコア "Iron Cage" の "Nature Isn't Mute, Modern Man Is Deaf" (自然が無音なのではない。現代人が耳が聞こえないのである) と名づけられたセカンド・アルバム。マレーシアのPissed Off Recordsよりリリース。まずはそのサウンドだが、暴走エモティブ・ハードコアという感じでめちゃくちゃ熱い。90年代のアメリカおよびヨーロッパのオールドスクール・エモーー例えば、Assafactor 4、Mohinder、Fingerprintらを、ストレートなレイジング・ハードコア寄りに演奏したらこうなるうだろうか、といった具合の暴走ぶりである。また、屈折具合もサウンドに高低をつけ、これがさらにサウンドの瞬発力を上げている。グレート。次に歌詞だが、オランダ語と英語の半々で歌われている。ちなみに、バンド名は、ドイツの社会学者・経済学者 "Max Weber" (マックス・ヴェーバー) が、人間生活の増大する合理化への言及を「Iron Cage (鉄かご)」と言い表したことから取られている。したがって、歌詞も彼の分析にインスパイアされているようだ。ファースト・ソングの "Possession" (所有) は、人間生活の増大する合理化が、我々の友愛・夢・冒険を奪っていき、しかもそれらに「競争」という価値観を付随させ、最終的に我々を孤立させてしまう現象を唄っている。俺は、その歌詞の中の次の言葉を心にとめておきたい : 「夢見るものを必要だと信じているか?」。

「俺たちが望むものは社会構造によって定義されている。数人が安楽とセキュリティの必要性を見つけることができるだけだ。そういった人間はしばしば圧倒的な所有と過度の固執を負わされる。それをいかに知らないことが大切だ。夢見るものを必要だと信じているか? 期待に手が届かなくなるとき、個人的な便宜のために俺たちが持っている嗜好はほとんど失望につながるだろう。」 - Possession (所有)

 

KAH-ROE-SHI "Shi" CD (Pissed Off) ¥900 Restocked
彼らのバンド名は「Kah-Roe-Shi」ーーもちろん「Death From Overwork」から日本語に直訳した「過労死」から取られている。ブックレットには次のような彼らのメッセージがある : 「9時から5時の労働観、および時計、経済、浅薄な生活から成り立つ人生よりも、人生には俺たちにとってもっと大切なことがある。本作は、俺たちが失った人生と反撃のために捧げられる。」ーーこの「過労死」に馴染み深い日本人 (だけではない、ちなみに) ならずとも賃金労働がクソだと思っているすべての人々は鼓舞されるかもしれない。まさに、このバンドは、上記のメッセージにあるように、「過労死」から自分たちの人生を取り戻すべく結成されたバンドである。しかも、このバンドはたんに反労働を訴えるバンドではない。「過労死」が自己責任によってではなく、政治的な支配によってもたらされたものである、ということの反資本主義の基本的な批判が下地にあるのは当たり前として、彼らは、「過労死」をさらに多種多様な問題に繋げているようだ : 悲嘆への服従、マレーシアにおいて開発のためにホームレス移住区を破壊しているMPAJ、2006年のイスラエルのレバノン侵攻、人工的な民族の概念、メディアの自由を保護する法律、他ーー詳しくは、それぞれの歌詞を参照してほしいが、これらの問題と「過労死」から見えてくるものは何だろうか? 俺は、システム (以下、奴ら) が「ひとつの現実」を人々に強制し、また、すべての物事を盲目にさせる支配装置としての「過労死」の意味ーーそれをこのバンド名に見る。もう一度転載しよう。奴らに「過労死」させられないために、奴らに反撃するために : 「9時から5時の労働観、および時計、経済、浅薄な生活から成り立つ人生よりも、人生には俺たちにとってもっと大切なことがある。本作は、俺たちが失った人生と反撃のために捧げられる。」 - (Kah-Roe-Shi)。バンド名の説明が長くなった。このKah-Roe-Shiは、何人かのMass Separationのメンバーを含むマレーシアのダーク・クラスト・ポリティカル・ハードコア・バンドである。奴らに対して一切容赦のないその姿勢はサウンドにも顕著に現れている。His Hero Is Gone、Neurosis、Dystopia、Counterblastらの影響を全面に出したサウンドだが、既にこのデビュー・アルバムにして、 Kah-Roe-Shi節があると言っていいほど特徴的である。曲も非常に練り尽くされており、それでいて超パワフル。とりわけ、ヴォーカルと手数の多いドラミングが強力。個人的には、東南アジアのバンドでは、ワン・オブ・ザ・ベスト・バンドになった。「(過労) 死」と書かれたインパクトのある布ジャケに、インスパイアリングな20ページ・ブックレット封入。2007年のシンガポールでのライブ・ビデオも付。そして、 マレーシアの全13レーベルによるトータルDIYな協同作品。

 

INSOLENTES "La Bestia Politica Morira" CD (Estajanovismo Records) ¥900
メキシカン・ウルトラ・ポリティカル・クラスト "Insolentes" の未発表曲、split 7" with TXIXAPARRALTA、demo CD-Rなど全12曲をコンパイルしたコンピレーションCD。彼らのサウンドは、Fallas Del SistemaやLos Dolaresのようなアナーコパンク的雰囲気もあるが、かなりメタル色が濃く、「Up The Metal Punx」のスローガンも示しているとおり、非常に「メタル・パンクス」を指向した音作りとなっている。加え、スラッシュ/グラインド・パートもあり、ブルータル度高し。また、"Maldita Costumbre" で聞けるようなクリーントーンを導入したダークで不穏なナンバーもあり、その辺はNeurosisなどの影響もあるかもしれない。しかしながら、何々タイプと明確に例えられない実に独特なサウンドで、個人的にかなり気にいっている。歌詞は、完膚なきまでにポリティカルで、抵抗、企業メディア、宗教、監獄制度、動物解放などについてを唄う。とりわけ、スウェーデンのストロング・ポリティカル・メロディック・パンク・バンド "Randy" の歌詞 (Taken form "The Rest Is Silence") を解説に引用した "Rocanrol" がよかった。この曲は、その歌詞のとおり、責任の代わりに限界に基づく社会について唄われている。以下に :

"責任の代わりに限界に基づく社会" - RANDY
「自分のために考えろ。そうすれば、お前の考えは他の人々に変化をもたらすだろう。」 - Rocanrol

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